ポンプについてPUMPS

ポンプについて

ポンプ
の定義

ポンプとは、低所にある流体を高所に上げたり、圧力の低い場所にある流体を圧力の高い場所に移送したりするための機械装置を言います。
取り扱う流体は、気体、液体のあらゆるものに及び、目的、条件、環境、構造等によって多岐に分類できます。

ポンプの
種類と用途

方法による分類

方法による分類

構造による分類

構造による分類

プロセス
ポンプに
ついて

プロセスポンプとは、原油や天然ガスからガソリン・LNG等の燃料やナフサ・エチレン等の石油製品原料を製造する装置の製造プロセス(図1)で多種多様な流体を移送するポンプの総称です。当該ポンプは、API規格(American Petroleum Institute)が適用され一般的に「APIポンプ」とも呼ばれ、エネルギー資源の採掘および石油精製、石油化学、ガス処理プラントで使用されています。

巨大な石油精製・ガス処理プラントにおけるトラブル発生は安全の観点からも、操業の観点からも地域や社会に多大な影響を与える可能性があります。よってプラントの血液ともいえる各種流体を移送するプロセスポンプには極めて高い信頼性が要求されます。
API規格ではポンプの性能及び信頼性に関して厳しい要求が規定されており、市場のニーズを反映して適時改定がなされてきました。近年の動向としましては『より高い信頼性と環境性能』を重視した規定が反映されています。
また、プロセスポンプが扱う流体の特性は温度、圧力、粘度、可燃性、毒性および腐食性など多種多様であり、設計から製造まで多彩なアプリケーション技術が要求されています。

プロセスポンプは、OH型(オーバーハング型)、BB型(両持ち型)、VS型(竪型)の大きく3種類に、さらに詳細構造の違いで全18種類に分類されています。(図2)この分類の中でもBB5型(高圧多段バレル型ポンプ)とVS6型(竪型2重ケーシング型ポンプ)は最も過酷な条件で使用されています。

BB5(高圧多段バレル型ポンプ:<図3>

BB5型は3段以上の羽根車を有する高圧多段ポンプであり、アウターケーシングが円筒形状であることからバレル型ポンプと呼ばれています。
当該ポンプの主な用途は、石油採掘プラントで地中または海底岩盤中の原油層に高圧流体を押し込み、原油を押し出すインジェクションポンプ、また石油精製プラントで流体を高圧に加圧し、各種反応塔に送り込むチャージポンプ等があります。流体を高圧に加圧するために羽根車を多段としたり、仕様によっては高速回転(4000rpm~7000rpm)とする場合もあります。このポンプは石油採掘プラントや石油精製プラントのまさに心臓と呼べる最重要ポンプとして位置づけられており、高温・高圧流体(温度Max.400℃前後、Max.30Mpa前後)を外部に洩らすことなく且つ安定した連続運転を可能にするために高度な技術が必要とされています。

BB5(高圧多段バレル型ポンプ:<図3>

S6型(竪型2重ケーシング型ポンプ:<図4>

VS6型は、ローターがポンプ据付面に対して垂直方向に吊り下げられる形の竪型ポンプです。ポンプは吸込ノズル、吐出ノズルを有するポンプヘッド部、軸シール部、軸受部は地上に、羽根車やそれを取り巻くケーシング部は地下に掘られたピットの中に収められます。当該ポンプの主な用途は、石油精製、石油化学、ガス処理プラントでの高揮発性の可燃性流体および低温流体(エチレンでは-104℃)の移送です。流体を高圧に加圧するために20数段に及ぶ多段とする仕様もあります。高圧で高揮発性の可燃性流体および低温流体を外部に洩らすことなく且つ安定した連続運転を可能にするために高度な技術が必要とされます。
また、API規格に加えて、国内納入ポンプでは取り扱う流体特性により高圧ガス保安法が適用される場合もあります。

S6型(竪型2重ケーシング型ポンプ:<図4>

ハイドロリックパワーリカバリータービンによる動力回収

石油精製、石油化学プラントの中には原料を高圧槽に送り反応や分解を行った後、低圧槽へ戻すプロセスが多く採用されています。高圧槽に液を送る場合は、ポンプを使って液にエネルギーを与えますが、低圧槽に戻す場合、減圧バルブ等の絞り機構でエネルギーが無駄に捨てられることがあります。このような高圧から低圧に液を輸送するプロセスにハイドロリックパワーリカバリータービン(以下HPRT)を設置して、流体圧力から回転動力を取り出すことでエネルギーを有効に活用することができます。(図5)

ハイドロリックパワーリカバリータービンによる動力回収